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吉幾三:ふだん着の温泉
東北紀行(68)泥湯 「泥湯温泉郷」 ,
川原湯地獄へ向かう途中から見た「泥湯温泉郷」の集落
そこを通り過ぎるとすぐに、荒々しい風景の中、狭い流れの高松川沿いに建物群が見えてきた。
湯治場の雰囲気を残す小さな木造旅館が3軒と湯小屋が通りの左右に並んで、まるで江戸時代にタイムスリップしたような雰囲気である。
決して交通の便がいいとは言えないが、今、この泥湯温泉が都会の温泉ファンには大人気なのだ。
まさしく、都会人が憧れる「秘湯」のイメージが、ぴったり当てはまるからなのだろう。かつては近郷近在の湯治客で賑わっていた泥湯温泉だったが、こんにちでは利用者は逆転してむしろ県外からのお客のほうが多いのだと言う。
小さな集落を成す静かな山間の温泉は鄙びた風情、情緒がたっぷりである。
この先には自然で造り上げた足湯や小さな祠の薬師神社があり、付近にはたくさんのマッドポット(噴出す泥の壺のようなもの)が顔を覗かせ、ゴボゴボと地球の息吹が感じられる。
確かにここは火山系の温泉で、特異な湯が堪能できそうである。
周囲は深い山々に囲まれていて、それでなくても当地は秘湯中の秘湯であろう。
そう当地は、有名な栗駒山の西の山麓に当たり、 栗駒国定公園の範疇にある。
超長い奥羽山脈の中部に位置し、秋田・岩手・宮城県、更には山形県の県境にも近い。
栗駒山自体が火山性の活火山に指定されている山で、昭和19年には水蒸気噴火を起こし、北部中腹には火口湖である昭和湖を形成している。
従って、周囲には火山性の温泉も多くあり、栗駒山を囲む岩手、宮城、秋田、山形には一軒宿から温泉郷までの名湯、秘湯が多数存在する。
無論、泥湯温泉もその一つであるが、周辺東側には小安峡温泉、西側には秋の宮温泉郷がある。
又、岩手県側には矢びつ温泉・真湯温泉・須川高原温泉、宮城県側には「くりこま高原温泉郷」、鬼首温泉郷、ご存知、鳴子温泉郷、そして、山形県側には最上温泉郷である赤倉温泉、瀬見温泉などがある。
思えば、一昨年(2008年)の「岩手・宮城内陸地震」により大規模な地滑りが起き、宮城県側周辺の須川、駒ノ湯、温湯、湯ノ倉、湯浜等の温泉が、地震による影響で休業や廃業に追い込まれる被害を受けている。
さて、泥湯(どろゆ)温泉は山深い地域にあって、温泉宿が三軒しかない鄙びた静かな谷間の宿である。
お楽しみの温泉であるが、入浴は後回しにして先ずは本日の主要な目的地である「川原毛地獄」へ向かう。
泥湯の温泉地より曲りくねった登り坂を車で少し走ると、山と山の間から急に灰色の溶岩ドームのようなものが立ちはだかるす。
まことに奇怪(きっかい)な稀有な風景を形作っている。
これが恐山、立山と並び称される日本三大地獄の「川原毛地獄」である。
草木が生えない灰色の小山のような山肌が突然現れ、いたるところから蒸気が吹きだし、鼻をつく強い硫黄臭があたりに漂っている。
起伏のある荒涼とした斜面は正に地獄を示し、一帯は不気味な光景を作りあげている。
車道からは遊歩道が二方向に設置されているが、右上の方はガス噴出で危険なせいか現在は通行止めになっている。
一部は熱蒸気と共に熱湯が噴き出している場所もあり非常に危険のようだ。
誤って足を入れたりすると、生きながらにして地獄を体験することになる。
そして、左手の歩道は谷底、渓流へ降りてゆく道で、かの有名な川原毛地獄の大湯滝が在るところに通じているようだ。
次回、「川原毛地獄」
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