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東北紀行(65)横手 「横手と後三年の役」 ,
国の名勝でもある桧木内川の桜並木を右に見ながら、角館を後にした。
これより秋田自動車道、湯沢横手道路などを経由して湯沢の南部より子安峡方面を目指す。
因みに、両高速道とも高速道路無料化の対象になっていて、有料であった高速道路の料金無料で走れ、これは民主党がマニフェストのひとつとして掲げる政策でもある。
先ずは横手に向かった。
横手は冬場、雪のカマクラで有名であるが、雪の殆ど降らない小生の住む神奈川県厚木市とは、この雪が取り持つ縁なのかどうかは定かでないが、友好都市の関係を結んでいるのである。
ところで、「B-1グランプリ」大会というのをご存知だと思うが、2010年に厚木で開催された。(優勝は山梨県甲府市「甲府鳥もつ煮」という品目) この時、46件もの出展参加者があり、44万人の人手があったという。
前年(2009年)には当地・横手市で開催されいて、ご当地「横手やきそば」がグランプリを得ている。
因みに、その前年の2008年に開かれた福岡県留米市の大会では、厚木の「厚木シロコロ・ホルモン」というのが優勝しているのである。
友好都市同士で連続のグランプリを獲得しているが、何かしら奇縁を感じるのである。
B-1グランプリとは、「B級ご当地グルメでまちおこし団体連絡協議会」(通称:愛Bリーグ)が主催する「B級ご当地グルメ」の日本一を決める大会であり、正式名称は「B級ご当地グルメの祭典 B-1グランプリ」と称している。
地元の食材をつかい、昔から親しまれてきた一品料理を調理し、来場客が出展料理を食べ比べる。
そして、どの料理が気に入ったかを投票によって選び、グランプリが決定するという趣向である。
横手は先に岩手・中央部の戦乱の項でも記したが、平安後期前九年、後三年の役で活躍した清原氏(出羽清原氏)の根城だったところである。
横手の中心部から北に約10km、奥羽本線には「後三年駅」というのも在り、後三年神社、後三年記念館、後三年平和公園など、そして「金沢」という地名もある。
そう、この地には「金沢柵」という巨大な城構えがあって、かって出羽・清原氏の根拠地でもあった。
金沢柵は前九年の役頃までは清原氏の居城で、後三年の役においては清原家衡、武衡が「沼の柵」から移って籠城したため源義家がこれを包囲して兵糧攻めにし、陥落した古城址である。
四周が断崖絶壁の岩山で天然の要害をなし、数多くの塹壕をつくり堅固な柵で、本丸、二の丸、北の丸、西の丸などには、当時の陣営の堀っ建ての柱穴址がたくさん残っているという。
柵跡には現在八幡神社があり、後三年の役終了後、源義家が藤原清衡に命じて出羽鎮護のため、石清水八幡宮の神霊を勧請して創建したものという。
本殿内は創建当時のもので、社務所は宝物殿を兼ねたもので幾多の社宝や貴重な文化財が保存せれている。
「前九年の役」で俘囚の長・豪族安倍氏に勝利した清原氏は、武則が朝廷から鎮守府将軍に任じされ、安倍氏の旧領奥六郡(律令制下に置かれた胆沢郡、江刺郡、和賀郡、紫波郡、稗貫郡、岩手郡の六郡の総称。
現在の岩手県奥州市から岩手県盛岡市にかけての地域に当たる)を併せ領する大族となる。
しかしその後、清原氏は同族同士での家督相続、御家争いの内紛を起こす。
清原真衡と吉彦秀武(きみこひでたけ)、清原家衡、清原清衡(藤原清衡)との争いで始まるが、前九年の役にも参戦した陸奥守源義家が介入し、清原真衡が死去したことで一旦は、清原清衡と清原家衡で分け合って跡を継ぐことになる。
しかし、清原清衡と清原家衡の間で再び争いが起こり、家衡は出羽国・「金沢柵の戦い」では籠城をして戦ったものの、結果、清原清衡に義家軍が応援したことで勝利し、直系の清原氏惣領家は滅亡する。
この一連の内紛を後三年の役(1083年から1087年)といい、勝利した清衡は奥州の覇権を握り、摂関家に届け出て実父・藤原経清(陸奥国亘理郡:現在の宮城県)の姓藤原を名乗ることになる。
藤原清衡は、後に磐井郡平泉に居を移し、政治文化の中心都市の建設に着手して、1108年には中尊寺造営を開始して壮大な中世都市平泉の原型をつくり、奥州藤原氏四代100年の栄華の基礎を築くことになるのである。
次回、湯沢 「小野小町」
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