.
東北紀行(11)いわき湯本 「大和国の仏と神」 ,
大和の長谷寺
いわき湯本の温泉神社は、奈良期の7世紀頃、神体山である「湯の岳」より降臨(神仏などの天下ること)して里宮として遷座したもので、後に、大和国・三輪神社(現、大神神社:現在奈良県桜井三輪)の主神を勧請し、祭祀されたとものいわれる。
三輪山は、奈良盆地をめぐる山でも高さ467メートルの一際形の整った円錐形の山であり、いわき湯本の「湯の岳」と類似形をしている。
そして太古より神宿る山で、そのものが神体であり、原始信仰の対象であったとされるのも酷似しているのである。
奈良盆地の大和国は、奈良期の仏教伝来後、最も盛んに根本仏教が栄えたところであることは周知である。
奈良時代の仏教が波及するようになって間もなく、神仏混交、本地垂迹説(ほんじすいじゃくせつ)という神道と仏教を両立させるための信仰行為が成立する。
神仏習合(神仏混交、神と仏を同体と見て一緒に祀る)とも言われる。
仏教が国家の宗教となったのは奈良時代で、東大寺を建立した聖武天皇の時からであったが、実は天皇というのは神道の神様を祀る中心的立場にあり、100%仏教とは行かなかったようである。
つまり、仏教は、すんなりと日本人が受け入れたわけではなく、紆余曲折があったことは良く知られている。
そこで、神様と仏様が歩み寄る必要が出てきて、歩み寄ったのは神様の方であり、因みに、その一番手が八幡神(宇佐神宮・応神天皇、大分県宇佐市)だったとされている。
日本において神仏習合思想に基づいて、神社を実質的に運営する仏教寺院が設けられ、この寺院を「神宮寺」と称した。
そこで三輪神社の神宮寺は、大神寺、通称、大御輪寺であった。(現在は、神仏分離で三輪若宮神社になっているらしい)
この寺院には天平国宝の十一面観音が祀ってある。
観音信仰の中心的菩薩である。
仏像の中でも大衆の信仰心を最も篤く受けてきたのは「観世音菩薩」であり、特に十一の面相を持つ十一面観音は、他の観音より強大なパワーを持つと信じられている。
その本尊・十一面観音の観音信仰の中心は「長谷寺」であるが、その根本御堂が三輪神社・三輪山の東に位置する大和・初瀬(泊瀬)川の「長谷寺」であることは興味のある方は周知である。
初瀬川は聖なる川といわれ、初瀬が生じて「はつせ」・「はせ」・「長谷」になったとされる。 初瀬川は長谷川でもある。
三輪山の神に仕える巫女、彼女たちが禊ぎをするのが初瀬川であり、「長谷寺」の興りはこの三輪山と初瀬川ともいわれる。
三輪山のご神体が初瀬川で生まれた「龍神」であり、龍神信仰と結びついたのが長谷信仰の根本である「十一面観音」であった。
大和の大神神社 ,
三輪山の神に囲まれた大和は王城の地であった。 ではそれ以前は・・?
旧態豪族の住む地であったとされ、ヤマト王権の初期の三輪政権(王朝)が存在したものと考えられているという。
神武天皇が九州の地(日向・美々津)から紀の国へ上陸し、奈良盆地を平定するとともに、この地域全体を「大和」と呼ぶようになった。(古事記、日本書紀の記録による。 歴史的には邪馬台国の東征ともいわれる)
更に、平定が日本全土に及ぶと大和の国と呼び習わすようになった。
「大和朝廷」の都の成立であり、歴代大王=歴代天皇家の地となった。
その信仰の中心的支柱が「三輪山」であった。
記紀には、『その神、大御和(おおみわ)の神奈備(かんなび)に坐せ』とあり、つまり、「大御和の神奈備(三輪山)に大物主神を御祀り申し上げた」と記載されている。
大神(おおみわ)神社である。
大御和(おおみわ)、大御輪(おおみわ)、大神(おおみわ)、大三輪(おおみわ)の関係がチョッとややこしいが、 本来、奈良の地域を古代には大御和の地と呼ばれていたらしく、この地に大神(おおみわ)神社が祭られ、地域名も「大御和」変じて「大和」になった、とする見方もある。
一方、この地域を三輪地方とも称している。
現在、この三輪山の麓である三輪地方はどのような土地柄になっているのだろうか・・?、序ながら次回に記載したい。
次回、「古代の大和の国」 、
【小生の主な旅のリンク集】
《日本周遊紀行・投稿ブログ》
GoogleBlog(グーグル・ブログ) FC2ブログ C・掲示板 FC2 H・P gooブログ yahooブログ
《旅の紀行・記録集》
「旅行履歴」
日本周遊紀行「東日本編」 日本周遊紀行「西日本編」 日本周遊紀行 (こちらは別URLです)
【日本の世界遺産紀行】
北海道・知床 白神山地 紀伊山地の霊場と参詣道 安芸の宮島・厳島神社 石見銀山遺跡とその文化的景観
東北紀行2010内陸部 ハワイ旅行2007 沖縄旅行2008 東北紀行2010 北海道道北旅行 北海道旅行2005 南紀旅行2002
【山行記】
《山の紀行・記録集》
「山行履歴」 「立山・剣岳(1971年)」 白馬連峰登頂記(2004・8月) 八ヶ岳(1966年) 南ア・北岳(1969年) 南ア・仙丈ヶ岳(1976年) 北ア・槍-穂高(1968年) 谷川岳(1967年) 尾瀬紀行(1973年) 大菩薩峠紀行(1970年) 丹沢山(1969年) 西丹沢・大室山(1969年) 八ヶ岳越年登山(1969年) 奥秩父・金峰山(1972年) 西丹沢・檜洞丸(1970年) 丹沢、山迷記(1970年) 上高地・明神(2008年)
《山のエッセイ》
「上高地雑感」 「上越国境・谷川岳」 「丹沢山塊」 「大菩薩峠」
.
0 件のコメント:
コメントを投稿